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今回の例題は、最近スーパーマーケット等でよくみる、無人レジを題材にしてみましょう。果たしてどの程度の効果を見込んでいるのでしょうか。
【コンサル面接対策】ケース問題
【背景】
クライアントは全国展開しているスーパーマーケットチェーンである。ビックデータを活用した効果的なマーケティングが功を奏し、売上高は右肩上がりの状態が続いている。一方で、コストが削減圧力は高まっており、店舗定員等の人材確保に難航していることとも併せて無人レジ導入をひとつの施策として検討している。
クライアントは、無人レジ導入の是非を経済効果を見極めるべく、コンサルタントに依頼をしてきた。
【参考情報】
・本問題における無人レジは、ICタグを活用してバーコードスキャンすることなく自動で会計できるレジと定義する
・無人レジの導入コストは1台あたり150万円
・各商品に10円程度のICタグを取りつける必要がある
【問題】
1. 無人レジ導入に伴うメリット・デメリットを整理しなさい
2. 無人レジを1台導入することに伴う年間コスト削減効果を推定しなさい
【コンサル面接対策】 ケース解答例・考え方
スーパーマーケットのレジ業務に関係するステークホルダーを洗い出した上で、ステークホルダー別のメリット・デメリットを整理する。
◆ステークホルダー
・顧客
・店員
・店舗経営者
◆メリット・デメリットの整理
ステークホルダー | メリット | デメリット |
顧客 | ・会計時間が短くなる | ・操作方法に慣れるまでに時間がかかる可能性がある |
店員 | ・レジ業務が簡略化される | ・仕事がなくなる可能性がある ・無人レジのトラブルシューティング対応をする必要がある |
店舗経営者 | ・人件費の削減が期待できる ・顧客利便性の向上による集客増が期待できる |
・適切な機器を選定しないと不具合が多発するリスクがある |
コスト面の効果がイメージしやすいですが、コスト以外にも顧客利便性の向上は大きな効果になるのではないでしょうか。例えば、今まで5分かかっていた会計時間がICタグ式のレジで一瞬で終わるようになれば、レジの待ち行列も解消されます。そうなると近隣スーパーマーケットの顧客を奪うこともあり得るでしょう。経営者はこうした効果も頭にいれて導入を判断していると思います。
無人レジ導入によるコスト面での影響を人件費・ICタグ費用・無人レジ設置/メンテナンス費用の観点から整理する
◆人件費(1台・1日あたり)
・無人レジ導入に伴い、レジ店員は不要
・ただし、サポート要員がレジ5台につき1名必要
・店舗の営業時間を1日12時間
・レジ店員の時給を1,200円
と仮定すると、
無人レジによるレジ店員の削減効果 | -12時間×1,200円 = -14,400円 |
無人レジのサポート要員の確保 | 12時間×1,200円×0.2 = 2,880円 |
合計 | -11,520円 |
◆ICタグ費用(1台・1日あたり)
・商品1点あたり10円のICタグ費用が必要
・レジ1台/1時間あたり15名の顧客対応
・顧客1人平均の購入商品点数を5点
と仮定すると、1日あたりのレジあたりのICタグ費用は、
15名 × 5点 × 12時間 × 10円 = 9,000円
◆無人レジのメンテナンス費用(1台・年間)
導入費用の10%のメンテナンス費用が毎年かかると仮定して、
150万円 × 10% = 15万円
◆1台あたりのコスト削減効果(年間)
(11,520円 - 9,000円) × 365 - 150,000円 = 769,800円
問題文に散りばめられた情報も参考に、コスト面で影響を与える要素をいかに洗い出せるかがキーポイントです。ケース例題①でも解説した通り、細かい計算をし始める前に全体像を整理した上で適切な前提を置いて計算すると良いでしょう。
また、最終的に算出できた計算結果に対して検算をすることも大切です。
今回の場合、無人レジ導入のコストが150万円なので、約2年で投資回収できる計算となります。設備投資の投資回収期間としてはやや短いですが、例えば数か月や数10年といったビジネス的にあり得ないだろうという答えになっていないかの感覚を持つことは大切です。
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