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今回はどの家庭でも使っているであろう洗濯機を販売している家電メーカーを取り上げたいと思います。
【コンサル面接対策】ケース問題
老舗日系家電メーカーであるB社は高品質な性能の家庭用洗濯機を売りに販売台数を右肩上がりで伸ばしていた。豊富な洗濯メニューと節水機能が他社と比べて秀でており、固定顧客を獲得していた。しかしながら、近年は海外製の比較的安価な製品を売りとするメーカーにシェアを奪われつつあり、打開策を検討する必要に迫られていた。
そこでクライアントはコンサルタントに状況を打開する施策の検討を依頼したきた。
【問題】
1. クライアントの家庭用洗濯機の年間売上を推定しなさい
(クライアントは日本市場の10%のシェアと仮定する)
2.クライアントの売上拡大施策を提案しなさい
【コンサル面接対策】ケース解答例・考え方
B社の年間売上 = 販売単価 × 購入顧客数 × B社シェア
と分解することができ、それぞれの要素別に細かく分解が可能。
※年間の購入顧客数は、保有台数と購入頻度を加味して算出する
◆販売単価や購入顧客数に影響を与える要素
・家庭用洗濯機の保有台数は、世帯人数・年収・年齢・職業等の影響を受けると推察
・販売単価は世帯人数・世帯年収・世帯貯蓄・最新テクノロジーへの興味度合等の影響を受けると推察
家庭用洗濯機は世帯単位で購入することから、世帯人数と世帯年収の組み合わせが、購入価格帯に影響を与える要素になる。
世帯人数 | 世帯数(万) | 世帯年収 | ||
~500万円 | 500~800万円 | 800万円~ | ||
1 | 1,250 | 80% | 15% | 5% |
2~3 | 2,000 | 70% | 20% | 10% |
4~ | 1,750 | 60% | 25% | 15% |
購入価格帯に係る仮説
・世帯人数が多くなるほど大型の洗濯機が必要となるため高い
・世帯年収が上がるほど高性能の洗濯機を求めやすい
以上を踏まえて世帯年数・世帯人数を基準にセグメンテーションを行う
世帯人数 | 世帯年収 | 世帯数(万) | 洗濯機の種類(%) | 洗濯機の種類 (世帯数:単位=万) |
||||
高級 | 普通 | 安価 | 高級 | 普通 | 安価 | |||
1 | ~500万円 | 1,000 | 0% | 20% | 80% | 0 | 200 | 800 |
1 | 500~800万円 | 188 | 5% | 30% | 65% | 9 | 56 | 122 |
1 | 800万円~ | 63 | 10% | 40% | 50% | 6 | 25 | 31 |
2~3 | ~500万円 | 1,400 | 5% | 30% | 65% | 70 | 420 | 910 |
2~3 | 500~800万円 | 400 | 10% | 40% | 50% | 40 | 160 | 200 |
2~3 | 800万円~ | 200 | 20% | 60% | 20% | 40 | 120 | 40 |
4~ | ~500万円 | 1,050 | 10% | 40% | 50% | 105 | 420 | 525 |
4~ | 500~800万円 | 438 | 20% | 60% | 20% | 88 | 263 | 88 |
4~ | 800万円~ | 263 | 40% | 40% | 20% | 105 | 105 | 53 |
洗濯機の種類別に纏めると、
洗濯機の種類 | 保有台数(万) |
高級 | 463 |
普通 | 1,769 |
安価 | 2,768 |
購入頻度に係る仮説
・価格帯が高い洗濯機ほど壊れにくいため、購入頻度が下がる
洗濯機の種類 | 価格(円) | 購入頻度 |
高級 | 100,000 | 8年毎 |
普通 | 50,000 | 5年毎 |
安価 | 30,000 | 3年毎 |
年間売上
洗濯機の種類ごとに、
保有台数 × 購入頻度 × 単価で算出ができる
洗濯機の種類 | 保有台数(万) | 単価(円) | 購入頻度 | 年間売上(億円) |
高級 | 463 | 100,000 | 8年毎 | 579 |
普通 | 1,769 | 50,000 | 5年毎 | 1,769 |
安価 | 2,768 | 30,000 | 3年毎 | 2,768 |
合計5,116億円
これにクライアントB社のシェア10%を乗じて、511.6億円
色々な表が登場していますが、筋道立てて考えることができたでしょうか。
洗濯機は身近で想像もしやすかったかと思います。
また、同じ問題を違うアプローチで解いてみるとまた新たな発見が得られるのでおすすめです。今回の解答例では世帯人数・世帯年数ベースで推定しましたが、他にはどのようなアプローチがあるでしょうか?
・店舗数ベース
・製造能力ベース
等々が思い浮かびます。是非試してみてください。
頭がどんどん柔らかくなります。
問題1の整理を踏まえると、売上を増やすための方向性は下記4つ
・単価をあげる
・販売数量を増やす(シェアを増やす)
・購入頻度を増やす
・新しいサービスの立ち上げ
購入頻度を増やす=壊れやすい洗濯機を製造する、又は世帯あたりの洗濯機の数を増やす必要があるものの、どちらもあまり現実的ではないので一旦除外する
また、海外製の安価製品にシェアを奪われれている現状を踏まえると、価格競争に挑むことはあまり現実的ではない。逆に高品質・高機能・充実したサービスを提供する方向に向かうべきである(=価格を下げてシェアを増やすことはしない)
これらを踏まえると例えば下記の施策が一案
*施策例*
「高価格帯のプレミアム製品に特化したブランド戦略を打ち出す」
海外製と競争が発生する50,000円前後の製品からは撤退し、100,000円以上の価格帯に特化した高機能製品のみを販売する。富裕層をターゲットとし、販売~アフターサービスに至る一連の顧客Journeyをきめ細やかにサポートすることで、富裕層の洗濯機市場を占有することを狙う。
この問題もやみくもに計算式の各要素を増やすことを検討するのではなく、顧客の置かれた状況を踏まえた施策を打ち出す必要があります。近年、価格をあえてあげて高価格・高機能に振り切ることで返ってシェア拡大・売上拡大につながるケースも多いかと思います。
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