【コンサル面接対策】ケース例題⑨~不動産賃貸業の売上向上施策


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今回扱うテーマは不動産賃貸です。皆さんもマンションやアパートを賃貸したことがあるかと思います。不動産賃貸業はどのようなビジネスモデルなのでしょうか。

問題

【背景】
あなたのクライアントは日本全国に展開する不動産賃貸業大手の会社であり、紹介できる物件の多さと仲介手数料の安さを売りに順調に売上を伸ばしてきた。特に東京・名古屋・大阪の3大都市圏におけるシェアはナンバーワンを誇っており、他社の追随を許さない状況が続いていた。
一方で、労働環境は厳しい状況が続いており残業時間が長時間化していることが問題視されており、近年の働き方改革の影響で労働時間の縮小を余儀なくされていた。そこでクライアントは残業時間を減らしつつ、いかに効率的に売上を今まで通りに上げ続けるかを検討するためにコンサルタントに相談を持ち掛けた。

【問題】
1. クライアントの賃貸仲介手数料の年間売上高を推定しなさい
※ただし、クライアントシェアは30%とする
2. クライアントの賃貸営業を効率化するための施策を提示しなさい

【コンサル面接対策】解答例・考え方

【問題1】
不動産会社が顧客に物件を紹介したタイミングで、その物件賃料の1か月分程度の金額の賃貸仲介手数料が発生する。
つまり、
日本全国の賃貸住まいの家賃 × 賃貸の回転率(引越し頻度)
の式で推算することが可能。

◆日本全国の賃貸住まいの家賃・引越し頻度
世帯人数、世帯年収、居住地域、職業等の要素によって賃貸率(持ち家と賃貸の比率)や賃貸の場合の家賃がセグメンテーションできる

例:
・世帯人数が増えるほど、賃貸家賃は高い(賃貸率は低い)
・世帯年収が高いほど、賃貸家賃は高い
・3大都市圏は地方に比べて賃貸家賃が高い(賃貸率も高い)
・3大都市圏の中でも東京は群を抜いて賃貸家賃が高い
・世帯人数が少ないほど、引越し頻度が高い
等の仮説に基づいて、例えば下表のような整理となる

居住地域 世帯人数 世帯数 賃貸率
(%)
賃貸家賃
(円)
引越し頻度
(年)
東京 1人 2,000,000 80% 60,000 3
東京 2人 3,000,000 50% 80,000 4
東京 3人~ 2,000,000 30% 100,000 6
名古屋・大阪 1人 2,000,000 70% 40,000 3
名古屋・大阪 2人 3,000,000 40% 60,000 4
名古屋・大阪 3人~ 2,000,000 20% 80,000 6
その他地域 1人 8,000,000 50% 30,000 3
その他地域 2人 12,000,000 20% 40,000 4
その他地域 3人~ 10,000,000 10% 50,000 6

よって、賃貸仲介手数料は、
世帯数 × 賃貸率 × 月額家賃 ÷ 引越し頻度の総和となり、

居住地域 世帯人数 年額仲介賃貸手数料(億円)
東京 1人 320
東京 2人 300
東京 3人~ 100
名古屋・大阪 1人 187
名古屋・大阪 2人 180
名古屋・大阪 3人~ 53
その他地域 1人 400
その他地域 2人 240
その他地域 3人~ 83

1,863億円
クライアントのシェアは30%なので、
1,863億円 × 30% = 559億円

いかがでしたか?不動産賃貸がどのような要素によって因数分解できるかを想像できれば難しくなかったかもしれません。少し古い記事ですが、こちらのデータだと不動産賃貸の手数料は約2,300億円ということでだいたいこのように数字になるのでしょう。
https://www.takakan.co.jp/netfudosan/frontier53.html

【問題2】
賃貸営業業務を効率化するためには、顧客問合せ~物件引渡しまでの一連のプロセスを整理し、それぞれのプロセスにて業務短縮・及び成約率を高める必要がある。
(成約率を高めることができれば、残業時間を削減したとしても今までと同様の成約数を得ることが可能)

◆賃貸営業業務のプロセス
①顧客問合せ
②物件説明・内見
③契約書類の作成
④契約
⑤物件引渡し

◆施策例

業務プロセス 業務短縮 成約率向上
①顧客問合せ ・掲載情報の詳細化
・AIを用いた自動応答システムの導入
・顧客属性に応じた問合せ対応マニュアルの拡充
②物件説明・内見 ・ARの導入 ・優秀な営業マンのノウハウの蓄積
・インセンティブ制度の強化(時間あたり成約数、成約率をKPIとする)
③契約書類の作成 ・全社的に業務を標準化
・システムツールの導入による業務自動化
-
④契約 ・契約手続きの簡素化
・契約手続きの電子化
-
⑤物件引渡し - -

働き改革が叫ばれる昨今、どの業界もいかに業務を効率化するかに頭を悩ませているのではないでしょうか。今回の施策は不動産賃貸業を念頭にまとめてみましたが、同様の施策は他の業界にも通じるものがあると思います。ムダをいかに排除し、システムツール等を活用しつつ人間がいかに「頭を使う仕事」に専念できるような仕組みを構築できるかがキーポイントになってくるでしょう。


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