外資コンサルのファシリテーション術


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ファシリテーションという言葉は聞いたことがあるでしょうか。


ファシリテーション(facilitation)とは、人々の活動が容易にできるよう支援し、うまくことが運ぶよう舵取りすること。集団による問題解決、アイデア創造、教育、学習等、あらゆる知識創造活動を支援し促進していく働きを意味します。その役割を担う人がファシリテーター(facilitator)であり、会議で言えば進行役にあたります。
(日本ファシリテーション協会のHPより)
https://www.faj.or.jp/facilitation/

コンサルタントの存在意義の一つしてこのファシリテーションスキルが挙げられると思います。この記事ではコンサルのファシリテーションスキルについて解説していきたいと思います。

コンサルタントの会議におけるファシリテーション術の意義

コンサルタントとしてクライアントをサポートするプロジェクトに参画していれば、必ずクライアントと会議をすることになります。プロジェクトの多くが、クライアントの経営上の意思決定をサポートしていくことになるため、どのように合意形成を図っていくかは腕の見せ所となりますし、参加者の意見を引き出しつつ、最終的にコンサルタントして狙っている結論にクライアントを導くことができればやりがいにもつながってくるでしょう。

提案や最終報告等であれば、単なるプレゼンテーションができればうまくいくケースもありますが、基本的にはファシリテーションができないと会議をコントロールすることはできません。事業会社あるあるですが、部門・役職によって意見がバラバラで、そこをコンサルタントがいかにファシリテーションして参加者全員が納得できる結論に導くことができるかがキーポイントとなるでしょう。

外資コンサルのファシリテーションのコツ

代表的なスキルはこれらになるでしょうか。一つ一つ丁寧に解説していきたいと思います。

  • 意見を言いやすい雰囲気を作る
  • 意見を整理する
  • 合意形成を図る

意見を言いやすい雰囲気を作る

例えば、ある事業の新規立ち上げを検討するプロジェクトがあったとします。関連する各部門の役員が集まり、それぞれの立場で意見をもって参加しています。この会議で、特に前置きや説明なく、「○○事業の新規立ち上げについてどう思いますか?」と司会者であるコンサルタントが言ったらどうなると思いますか?

会社の雰囲気にもよりますが、普通はなかなか意見は出てこないでしょう。何故なら他の人がどう思っているか、どういう意見を言えばいいかの判断がなかなかできずに、偉い人の意見をまず聞いてみようというような判断をする方が多いからです。

この時に、
・プロジェクトの経緯
・判断をするにあたる論点
・それぞれの立場で想定しうる意見
・他社事例
等を事前に説明し、発言を促すために突破口となりそうな人を指名すると議論も活発になるのでしょうか?

こうした雰囲気つくりは、初めて訪問する会社に対してヒアリングを実施する際にも役立ちます。僕自身も何度もこうしたヒアリングをしていますが、相手の人柄、性格をいち早く見極めた上で話を引き出す工夫をすることが大切です。

「あの人は全然しゃべってくれませんした」

たまに若手がこういってきますが、それはコンサルタントの話の引き出し方が悪いだけです。

意見を整理する

雰囲気づくりに成功して意見が活発になるようになると、今度は意見を整理するスキルが必要です。クライアントはコンサルではないので、本当に自由に意見を言います。コンサルのように論理的に述べてくれれば楽ですが、そうではないケースも多々ある中、いかに意見を集約して整理できるかもコンサルタントとしての腕の見せ所です。

その場でホワイトボードに表を書いて整理することや、エクセル・パワーポイントを使って整理することもあります。話しているクライアントも時に迷子になり、何を言いたいかがわからなくなるようなケースもあるので、端的に整理をしてあげると喜ばれます。

合意形成を図る

コンサルタントが会議に参加するからには最終的にはクライアントの目標に沿った合意形成を図ることです。クライアントは様々な意見をもっており、内部でのパワーバランス等もある中でいかに多くの人が納得感を持って結論を受け入れることができるかが大事です。

特に、クライアントの役員が多く参加しているようなプロジェクトだと、プロジェクトの担当社員と協力して、どの役員がキーパーソンかを定めた上で話す順序までも詳細に作戦だ立てた上で順を追って合意形成を図るようなやり方をしていきます。

クライアント内部だけでは難しかった合意形成をコンサルタントという部外者がうまく交通整理をしていくことで成功させていくことは醍醐味でもあります。僕が以前に参画したプロジェクトの担当役員からも、
「コンサルタントのファシリテーション術、合意形成の図り方のプロセスを学べたことが今回のプロジェクトの中で一番価値があった」
という言葉をいただいたことがあります。

現役外資コンサルが紹介するファシリテーション術を学ぶおすすめ本

今回の記事でも紹介したエッセンスをより詳しく学んでみたいと思われる方は下記で紹介する本を読んでみてください。

ファシリテーションの教科書: 組織を活性化させるコミュニケーションとリーダーシップ

グロービスの本です。ファシリテーションのいろはについて体系的にまとまっており、初心者にも非常にわかりやすい内容です。ファシリテーターの立場、会議参加者の立場どちらでも参考になる内容で、会議の生産性をあげるために読んでみるとよいでしょう。

吉田素文/グロービス 東洋経済新報社 2014年10月31日
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「会議ファシリテーション」の基本がイチから身につく本

ファシリテーションのテクニックや心構えを纏めた本です。どちらかというとコンサルタントがクライアント先で行うファシリテーションよりも、事業会社の社内会議で実践できるファシリテーションに重きを置いているので、事業会社の社内会議あるあるがリアルにわかるのではないでしょうか。

釘山健一 すばる舎 2008年03月
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まとめ

  • コンサルタントのファシリテーション術はクライアント内部の合意形成を図る上で重要
  • 「意見を言いやすい雰囲気を作る」、「意見を整理する」、「合意形成を図る」ことがファシリテーションのコツ

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