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今回の記事では、外資コンサルのアウトプットの一つであるパワーポイント資料の作成術について解説していきたいと思います。
コンサルの成果物は数千万円にもなる
コンサルがクライアントと契約をするとき、多くのケースでは成果物をプロジェクト当初に定義してプロジェクトがスタートします。コンサルタントを何人使うかではなく、まずは成果を定義した上でその成果物を作成するために必要なコンサルタント数、期間を見積もった上で費用を提示し、両者合意で契約がなされるのです。
なので、コンサルのプロジェクトは言い換えると3ヵ月で数千万円のパワーポイント資料を作成し、クライアントの目標を達成するということになるでしょう。
(あくまでもクライアントの目標は、ある事業の方向性決定、社内の意思統一等になりますが、外からみるとパワーポイント資料100枚に対して数千万円と見え方もするかもしれません)
コンサルが作成したパワーポイント成果物の事例
コンサルが作成する資料は基本的には外に明かされることなく、機密情報として扱われます(当然ですね)。ただ、唯一、官公庁系の案件だと成果物を官公庁として公開する義務があるので、ネット上で自由に見ることができます。
◆ボストンコンサルティング
平成29年度産業経済研究委託事業 最終報告書
(第4次産業革命時代におけるグローバル経済の動向とリスクマネー供給の在り方について)
https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/H29FY/000275.pdf
◆デロイトトーマツコンサルティング
平成29年度高度な自動走行システムの社会実装に向けた研究開発・実証事業
(シミュレーション技術を活用した開発高度化、認証の実態調査)
https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/H29FY/000665.pdf
◆アクセンチュア
平成28年度地域経済産業活性化対策委託費
(インターネットにおける福島県等に関連した投稿等分析調査)調査報告書
https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/H28FY/000776.pdf
◆アーサー・ディ・リトル・ジャパン
平成28年度化学物質安全対策 東アジア・アセアンにおけるサプライチェーン構造の現状と課題把握に関する調査 最終報告書
https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/H28FY/000025.pdf
外資コンサルのパワーポイント資料作成のコツ
上記で紹介したパワーポイント資料はファームによって色は出ているものの、いずれもわかりやすくまとまっていると思います。では、コンサルタントは日々何を意識して資料作成しているのでしょうか。
- キーメッセージを端的に伝える
- 資料の構成は"Z"/"F"字を意識する
- 細かいところまで抜かりなく
キーメッセージを端的に伝える
どのファームの資料も共通していることはキーメッセージが端的に書かれていることです。1スライド1メッセージというのが大原則です。つまり、「そのスライドで何を伝えたいの?」ということが明確になっていないといくら時間をかけたスライドであっても意味がないものになってしまうのです。
コンサルファームで資料作成をする際には、まずこのキーメッセージを固めることからスタートします。先ほど紹介したボスコンの資料だとこうなりますね。
P3:米国・中国はグロース投資の規模において日本を圧倒
P4:国内VCの現状を見ると、エクスパンションを支える資金供給が不足している可能性
P5:リスクマネーを活用した事業創出の要素が現在の日本では不足している可能性
P6:リスクマネーを活用した事業創出における課題の整理
P7:政府系ファンドは的確なスコープにガバナンスの効いた政策手段
P8:諸外国もSWFや政府系ファンドを政策実現に活用している
どうでしょう、 内容自体は難しいですが 助詞や接続詞等を補えば理路整然とした文章になることがお分かりいただけますでしょうか。このように並べていけばこの流れに関係のないスライドは必要ないことがわかると思います。また、クライアントの意思決定権者にプレゼンテーションをした時にも端的に言いたいことを正しい順序で話すことができれば、効率的に意思決定をサポートすることができるのです。
資料の構成は"Z"/"F"字を意識する
人間の目は、無意識に左から右・上から下に動いていくことが明らかにされています。それをアルファベットに例えたのが"Z"であり"F"です。つまり、ZやFの字のような形で資料が作成されていれば自然と頭に内容が入ってきやすいですし、逆にそれが意識されていないとひと手間余計に読者に考えさせてしまうのです。
(ユーザー投稿)「Zの法則/Fの法則」と呼ばれるネット閲覧ユーザー特有の目の動きについて、実例を交えながらその活用方法を…
こちらの記事ではアマゾン等のネット通販でもZやF字を意識していることが紹介されていますね。
細かいことまで抜かりなく
この言葉はコンサルタントが資料作成で意識する様々なことを包含しています。
・図形の枠線の太さを統一
・フォント、文字の色は意味を持たせて統一
・図形の横位置や縦位置は揃える
・図形の間隔は等間隔に
等々
これらはクライアントがクライアント内部向け作成した資料を覗いていてよく感じることです。やはりフォーマット等が統一されていないと人間は余計なことに神経を使って中々資料の中身が頭に入ってこないと痛感します。
ファームごとに特色はあるものの、基本的にはどのファームにもパワーポイント資料のテンプレートが準備されており、そのテンプレートを遵守することが求められています。例えば、キーメッセージの文字数制限、フォントの色の意味、余白の幅等も細かく定義されています。僕も入社後間もない時にテンプレートに沿っていないというダメ出しを当時の上司から厳しく叱責されたことを思い出します・・・
また、これらの細かい作業を効率的に行うため、ショートカットキーを使いこなすことは必須要件です。あえてマウスを取り上げてキーボードだけで効率的にコマンドを呼び出す練習等を重ねることでショートカットキーを駆使することができるようになるのです。クライアントとの会議で若手コンサルタントが画面を映しながらディスカッションをすることも時々ありますが、その時にいかにこういったスキルを駆使しながらミーティングを円滑に進めることができるかが若手の腕の見せ所でしょう。
現役外資コンサルが紹介するパワーポイント作成のおすすめ本
今回の記事でも紹介したエッセンスをより詳しく学んでみたいと思われる方は下記で紹介する本を読んでみてください。
PowerPoint資料作成 プロフェッショナルの大原則
元外資コンサルの著者が書いたPowerpoint資料作成に特化した本です。エッセンスを詰め込んで書かれており、これ一冊でコンサルタントが普段意識していることや研修で習うようにような内容が網羅されている点がおすすめです。
外資系コンサルが実践する資料作成の基本
こちらはコンサルタントとして必須スキルである資料作成のコツを、テクニック面・内容面の双方から解説した本です。わかりやすくクライアントに伝えることが必須である仕事柄、資料作成については入社1~3年の時期に徹底的に詰め込まれます。 パワーポイントだけでなく、ワード・エクセルの資料作成も網羅している点が特徴です。
まとめ
- コンサルが作成する資料は数千万円の値段がつくこともある
- 各ファームが作成した成果物は官公庁のサイトでは一部公開されている
- パワーポイント資料作成のコツは「キーメッセージを端的に伝える」、「Z/F字を意識する」、「細かいところにまで気を配る」こと
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